大潟村は昔、湖だった…。

農業

大潟村の農地と農業の移り変わり

(1)八郎潟の干拓

 かつての八郎潟は、東西12km・南北27km・周囲82km・総面積22,024haと、琵琶湖に次いで日本第二の広さの湖でした。水深は最深部でも4~5mに過ぎず、干拓しやすい条件を持っており、湖底は平坦で、大部分は肥沃な「ヘドロ」といわれる重粘土質土壌で覆われていました。
 八郎潟干拓工事は、昭和32年4月に始まりました。着工以来、工事は順調にすすみ、昭和41年5月に干陸し、昭和40年8月には「八郎潟新農村建設事業団」が設置され、干陸後の「新農村建設事業」が進められました。こうして20年に及ぶ歳月と総事業費約852億円の巨費を投じた世紀の大事業として、昭和52年3月で完工し、八郎潟の湖底は17,229haの新生の大地に生まれ変わりました。
 なお、干拓事業の詳細については、「歴史」をご覧ください。

八郎潟干拓地
八郎潟干拓地

(2)干拓面積と農地面積

 八郎潟干拓事業により誕生した干拓地は図のとおりで、干拓面積と干拓地に整備された農地面積は表のとおりとなっています。干拓地のうち、15,666haの中央干拓地は全て大潟村に属しています。大潟村の行政区域面積は、中央干拓地に加え、八郎湖調整池、東部承水路、西部承水路を含んでおり、17,005haとなっております。周辺干拓地とは、男鹿市、潟上市、井川町、五城目町、八郎潟町、三種町の八郎潟の湖岸沿いに造成された干拓地です。
 中央干拓地の農地11,755haは、入植者(589戸)に8,976ha、増反者(2,072戸)に1,848ha、公的機関・団体に931haが配分されています。なお、増反とは、干拓地の近くに住み農地を有し農業を営んでいる方で、干拓地の土地を配分され、耕作面積を広げることを意味しています。

干拓面積とその内訳
地区面積の内訳
(ha)
農地配分戸数
(戸)
地区
面積
農地 集落
用地
施設
用地
その
入植 増反
中央干拓地 15,666 11,755 730 2,235 946 589 2,072
周辺干拓地 1,573 1,047 - 516 - - 2,373
合計 17,229 12,802 730 2,751 946 589 4,445

八郎潟干拓図

 八郎潟干拓地は、その多くが「ヘドロ」と呼ばれる土壌が分布しています。この土壌は、モンモリロナイトを多く含み、極めて排水が悪い重粘質土壌であり、深いところでは地下40mにも達しています。また、乾燥すると収縮し、堅くなる性質をもっています。八郎潟干拓地の断面図は以下のとおりです。
図:八郎潟干拓図(大潟村 農業の紹介 より引用)

(3)大潟村の圃場

 大潟村の圃場の標準区画図を以下に示します。
 大潟村の入植者の営農計画は、当初は水稲を中心作物とし、大型農業機械を用いる営農体系でした。入植後は、大型トラクター3台、大型コンバイン1台の組み合わせを1セットとし、約60haの圃場を1単位とし、1戸あたり10ha、6戸の協業組織で営農を行う経営が計画され、圃場の大きさや配列が検討されました。その結果、60haの基本単位の圃場の長辺は1,000m、短辺は600mとし、短辺を4等分し、150mごとに小排水路と小用水路及び幅3mの農道を交互に配置し、圃場ごとに用水・排水が調節できるように計画されました。4枚の大きな圃場は畦で12等分され、こうして整えられた圃場の面積は1枚あたり約90m×140m≒1.25haとなり、後に入植者は1人あたり約1.25ha×8枚=約10haの配分を受け、さらに昭和49年に約1.25ha×4枚=約5haの追加配分が行われました。

大潟村の圃場の標準区画図

 1農家あたり、1.25haの圃場を12区画分、合計約15haが配分されましたが、この圃場は、基本圃場8区画約10ha、副圃場4区画約5haに分かれており、これらの距離は数キロ程度離れていました。農作業の効率化をはかるため、昭和56・57年と平成元・2年の2回にわたり、農業委員会が農地交換分合事業を実施し、農地の集団化が図られました。その概要は以下のとおりです。

参加農家数
389戸
対象面積
6,000ha
交換分合による移動面積
2,969ha
集団化率
58.5%

(4)入植

 大潟村の入植者は、全国各地からの入植希望者の中から選抜されました。昭和41年には、第1次入植者の選抜が行われました。合格者は1年間の入植訓練の後、昭和42年に家族と共に大潟村に入植し、昭和43年から営農を開始しています。以後順に第2次から昭和45年の第4次まで460戸が入植したところで、昭和45年から始まった米の生産調整(新規開田抑制施策)が行われたため、入植が一時中断されました。その後、田畑複合経営に営農計画が変更され、昭和49年に第5次入植者120名の入植で、国営事業での入植は終了しました。第1次から第5次までの入植者は580名となっています。その後、昭和53年に秋田県の単独事業で玉川ダム建設に伴う入植者9名を加え、最終的に全国38の都道県から計589名が入植しました。

年次別入植者数
第1次 第2次 第3次 第4次 第5次 県単 合計
応募者数(人) 615 281 309 389 870 - 2,462
入植者数(人) 56 86 175 143 120 9 589
入植年 昭和42年 昭和43年 昭和44年 昭和45年 昭和49年 昭和53年
営農開始年 昭和43年 昭和44年 昭和45年 昭和49年 昭和50年 昭和55年
出身県別入植者数(単位は人)
都道府県名 入植者数 都道府県名 入植者数 都道府県名 入植者数
北海道 83 新潟県 22 鳥取県 4
青森県 17 富山県 4 島根県 1
岩手県 14 石川県 3 香川県 1
宮城県 10 福井県 3 徳島県 3
秋田県 323 長野県 4 愛媛県 2
山形県 11 静岡県 2 高知県 3
福島県 3 愛知県 5 福岡県 2
茨城県 4 岐阜県 2 佐賀県 12
栃木県 6 三重県 8 長崎県 1
群馬県 2 滋賀県 4 熊本県 3
埼玉県 1 奈良県 1 鹿児島県 3
千葉県 1 兵庫県 4 沖縄県 1
東京都 3 岡山県 13 合計 589

(5)水稲単作経営から田畑複合経営へ

 八郎潟干拓事業は、主要食糧である米の増産を目的に工事が行われました。従って、入植当初は1戸当たり10ha規模の水稲単作経営の営農が行われてきました。しかし、昭和40年代に入ると米の生産量が消費量を上回るようになり、昭和45年には新規開田抑制施策に伴う米の生産調整が始まりました。そのため、水稲単作経営での入植事業は第4次入植(昭和45年)で中断となってしまいました。
 その後、八郎潟干拓地における営農計画を、昭和48年に 「当分の間、田と畑の面積をおおむね同程度とする15ha規模の田畑複合経営を行うこと」に変更するとともに、第1~4次入植者には5haを追加配分して15haに、第5次入植者には15haの農地配分が行われ、昭和50年の営農から田畑複合経営が始まりました。
干拓地の土壌は、極めて排水の悪い重粘土質土壌が深い所では地下40m以上にも達する軟弱地盤で、大型機械化作業での営農には困難を極めていました。こうした畑作に不向きな土壌条件下に加えて、栽培する畑作物は、面積規模を考慮した場合、麦・大豆等の土地利用型作物が主体となり、単位面積当たりの収益性は米に比較してはるかに低く、更には、①基盤整備は田としての造成であったので、国への土地償還金は畑作であっても田として支払わなければならなかったこと、②登記上の地目は田であり税法上の取り扱いも田であったにもかかわらず転作奨励金の交付対象外であったこと、により、昭和50年から始まった畑作営農は入植農家の経営を次第に圧迫するに至りました。
こうした状況にもかかわらず、農地配分にあたっての国との契約から、入植者は国の営農計画に従う義務を負っていました。ところが昭和53年に10年間の長期にわたる水田利用再編対策が打ち出されたことから、「当分の間」の田畑複合経営が相当長期にわたることが予想され、入植者が国の指導に一斉に反発して稲作上限面積を超えて稲を作付けし、国の是正指導で青刈りするという、 マスコミ等で全国的に報道された事態に至りました。
村としては、排水対策を主体とした畑作に対する各種補助事業制度の導入を図りながら、国に対し 「15ha全面水田取り扱い・県内一般農家並みの転作率」 について再三にわたって要望活動を展開し続けてきました。これに対して国は、昭和60年から畑作の転作扱い面積を段階的に拡大し、最終的に村の要望が実現するには平成2年3月まで15年間もの歳月を要しました。この間、稲作上限面積を守らず国から農地の買戻しを受けた農家の出現を契機に、年々稲作上限面積を守らない農家〔以後国は農地の買戻しを行わず、転作非協力・新規自己開田扱い農家〕が約半数の農家まで増え続け、こうした農家による自由米流通の急激な増加、及びマスコミ等で全国的に報道された昭和60年の不正規流通米検問など、様々な問題が発生しました。このことは、入植農家間に大きなしこりを残すと共に、農政に対する大きな不信となりました。
しかしながら、現在は環境に配慮した「環境創造型農業」を実践し、安全・安心な農作物の生産はもとより、環境負荷軽減による水質改善と生物の多様性を図るとともに、都市と農村の交流を推進し、八郎潟干拓の目的とした豊かな新農村の創造に向けて新たな村づくりを展開しています。

水稲作付面積と転作の取扱経過

昭和45年
新規開田抑制施策・米生産調整が始まり、4次入植で入植者の募集を中断
昭和48年
水稲単作10haから、当分の間田と畑の面積をおおむね同程度とする15haの田畑複合経営に営農計画が変更される。
昭和49年
5次入植者に15haの配分・1~4次入植者には5haの追加配分。
昭和50年
田畑複合経営の開始初年目。国の指導と農家の理解の食い違いから「青刈り問題」が発生。
昭和51年
国の通達により、稲作上限面が8.6haまでとされる。残りの畑作面積は転作奨励金の対象外。
昭和53年
水田利用再編第一期対策が始まり、8.6haに対しても転作目標面積が配分される。大多数の農家が稲作上限面積を超えて作付けし、是正した「青刈り問題」が再度発生。
昭和56年
水田利用再編第二期対策が始まり、さらに転作が強化される。この年から転作非協力農家が年々増える。
昭和60年
稲作上限面積が10haに拡大される。しかしながら、転作により稲作面積は増えない。不正規流通米が社会問題化し、検問が実施される。
昭和62年
稲作上限面積が12.5haに拡大される。しかしながら、転作により稲作面積は増えない。概ね40戸程度の営農集団が7集団設立され、生産調整推進上の地区としての取り扱いとなる。
平成元年
15haが全面水田取り扱いとなる。しかしながら、転作により稲作面積は増えない。
平成2年
15ha全面水田取り扱い、県内一般農家並の転作率 (27.4%) が実現する。

水稲作付面積・転作の取扱経過

※昭和50年以降の面積は、畦畔(5%)を除く面積である。また、平成2年の面積は畦畔(4%)を除く面積である。
図:大潟村 農業の紹介 より引用

大潟村農業の現況

(1)農作物の作付面積と収量

農作物の作付面積と収量
水稲 麦類 豆類 野菜
類他
畑作計 総計 備考
大麦 小麦 大豆 小豆
昭和50 5,185 937 3 27 967 6,152 田畑複合経営が開始
530 251 130
昭和55 4,652 37 3,317 482 424 234 4,494 9,146 S53年以後畑作の転作扱い面積が段階的に拡大
581 287 303 166 11
昭和60 5,957 815 1,495 791 356 229 3,686 9,643  
590 513 344 204 150
平成10 8,073 141 28 510 2 48 729 8,802 長雨のため収穫期の大豆に被害
577 345 196 120 50
平成13 7,876 98 78 727 2 51 956 8,832  
600 336 447 264 123
平成14 7,890 33 115 880 4 47 1,079 8,969 長雨、雪害による減収と品質低下
568 500 438 179 109
平成15 7,901 13 148 782 1 47 991 8,892 7~8月異常低温、日照不足
537 456 430 147 78
平成16 8,258 11 127 426 2 41 607 8,865 8~9月の台風塩害による被害
427 156 283 61 101
平成17 8,394 1 73 389 2 42 507 8,901  
592 460 373 210 180
平成18 8,281 5 80 364 2 41 492 8,773  
600 92 409 230 180
平成19 8,346 15 62 328 2 41 448 8,794  
582 325 436 210 180
平成20 8,192 10 62 599 2 39 712 8,904  
606 444 445 200 180
平成21 8,299 229 603 33 865 9,164  
599 480 120

※備考
(1)上段:作付面積 (ha)、下段:10 aあたり単収(kg)
(2)作付面積および畑作物の単収:JA大潟村営農支援課調査。 水稲単収:農林水産省統計「作物統計調査」。
(3)平成21年の大豆作付面積603 haの内訳は、大豆565 ha、特用大豆38 ha。
(4)平成21年の野菜類作付面積33 haの内訳は、南瓜16ha、メロン14 ha、ニンニク2ha、その他1ha。

(2)農業生産額の推移

農業生産額の推移(単位は千円)
区分 平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年
水稲 10,786,988 10,349,594 9,714,744 11,423,662 11,433,532
大麦 818 348 1,323 1,331
小麦 23,460 27,805 7,066 18,480 39,572
普通大豆 129,402 135,608 112,392 119,820 79,240
青大豆 37,686 33,793 30,564 32,650 11,400
黒大豆 8,558 7,161 3,157 672
小豆 2,154 1,242 1,242 1,242
野菜 68,787 80,354 81,112 68,050 55,435
メロン 35,036 37,555 35,959 32,379 28,319
カボチャ 32,251 40,689 43,054 33,728 24,866
ニンニク 1,500 2,110 2,099 1,943 2,250
花き 39,500 34,335 22,143 18,135 14,625
畜産 79,560 87,880 89,929 71,684 26,913
野菜その他 197,246 197,246 187,328 171,638
合計 11,176,913 10,955,366 10,260,918 11,943,054 11,832,355

※JA大潟村 営農支援課推計値

(3)環境に配慮した農業の展開

(1)化学肥料の使用

10a当たりに投入される肥料成分は、2004年では、窒素4.3kg、リン酸2.7kg、カリ1.5kgであり、全国平均と比べると著しく少なくなっています。この理由として、大潟村の土壌は干拓地であり、窒素やカリ、リン酸、ケイ酸、カルシウム、マグネシウム、など作物に必要な土壌養分が多いこと、潅漑水から供給されるカリなどの養分が多いこと、稲ワラなどの有機物が土壌に還元され土壌養分として蓄積されるなど養分の天然供給量が豊富であること、などがあげられます。

耕地面積あたりの化学肥料成分(窒素、リン酸、カリ)投入量
肥料成分 大潟村(kg/10a) 全国平均(kg/10a)
2000年 2004年
窒素(N) 4.9 4.3 7.8
リン酸(P2O5) 2.7 2.7 10.7
カリ(K2O) 1.3 1.5 8.6

(2)有機質肥料・堆肥の生産と利用

有機質肥料成分の10a当たり投入量は、窒素1.8kg、リン酸2.3kg、カリ1.0kgであり、水稲における有機質肥料の全国平均値と比べると少なくなっています。

耕地面積あたりの有機質肥料成分(窒素、リン酸、カリ)投入量
肥料成分 大潟村(kg/10a) 全国平均
(kg/10a)
2000年 2004年
窒素(N) 1.1 1.8 3.2
リン酸(P2O5) 1.8 2.3 5.2
カリ(K2O) 1.1 1.0 2.0

(3)農薬の使用

農薬の10a当たりの投入量は2.9kgであり、水稲における農薬投入量の全国平均と比べると少量となっています。特に大潟村はいもち病の発生が少なく、この理由として、比較的風が吹く日が多いのでいもち病菌が好む多湿条件になりにくいこと、及び稲体のケイ酸含有率が高く硬い体質になるためいもち病菌に冒されにくいこと、が考えられます。

耕地面積当たりの製剤投入量
(製剤投入量は、溶剤等を含んだ製品で、圃場で使用した量です。)
農薬の種類 大潟村(kg/10a) 全国平均(kg/10a)
殺虫剤 0.8 1.5
殺菌剤 0.9 1.9
殺虫・殺菌剤 0.2 1.5
除草剤 1.0 1.8
生物生長調整剤 0 0.1

(4)環境保全型農法の実施

 大潟村では、1980年代半ばに有機農業の取り組みが始まり、1990年には農薬の空中散布を中止し、全国に先駆けて無農薬・有機栽培面積が拡大しました。その後、消費者団体との大型契約や有機資材などの技術開発もあり、現在では以下の表のとおり多様な取り組みが行われています。 (平成18年度大潟村環境保全型農業実態調査より。回収率84.6%)

水稲栽培様式
栽培様式 面積
(ha)
栽培様式 面積
(ha)
JAS有機栽培(転換中含む) 663 減農薬栽培 482
無農薬無化学肥料栽培 70 減化学肥料栽培 308
無農薬栽培 45 減農薬減化学肥料栽培 3,521
無農薬減化学肥料栽培 2 慣行栽培 1,598
減農薬無化学肥料栽培 227 合計 7,005
無化学肥料栽培 89
【表】水稲作業形態
作業形態 面積(ha)
直播栽培 45
不耕起栽培 17
無代かき栽培 223
浅水代かき栽培 3,031
側条施肥 1,145
苗箱まかせ 3,750
慣行栽培 1,570
その他 57
合計 9,838

(5)特別栽培農産物認証等の取り組み

 化学肥料と農薬に依存した栽培から、堆肥等による土づくりと化学肥料・農薬の低減を一体的に行う持続性の高い農業生産を行う「エコファーマー制度」や、農薬や化学肥料の使用量を一定以上減らして栽培する秋田県独自の「秋田県特別栽培農産物認証制度」などの制度があり、有機農産物の認証制度等の取り組みが進んでいます。平成21年度の大潟村における農産物認証等の取り組みについては以下の表のとおりです。

エコファーマー制度

 農薬・化学肥料の使用回数・量を20~30%程度減らします。この制度には、平成22年度末で346戸(県全体4,859戸)の農家が認定されています。水稲が主体ですが、大豆や麦、南瓜、メロン ニンニク、花き等も含まれています。

秋田県特別栽培農産物認証制度

 農薬・化学肥料の使用回数・量目を慣行の50%以上を減ずる栽培で、秋田県が認証しています。

各種栽培の取り組み
  大潟村実績 秋田県実績
農家戸数(戸) 359 1,412
農薬・化学肥料不使用面積(ha) 50.08 106.45
農薬不使用、化学肥料50%以上減面積(ha) 5.28 13.02
化学合成農薬・化学肥料不使用面積(ha) 7.37 9.55
化学合成農薬不使用・化学肥料50%以上減面積(ha) - 0.03
化学合成農薬50%以上減・化学肥料不使用面積(ha) 192.38 279.18
化学合成農薬・化学肥料50%以上減面積(ha) 3,336.66 4,567.02
合計(ha) 3,591.77 4,975.25

大潟村の認定農業者

 認定農業者制度とは、農業経営基盤強化促進法に基づき、市町村が地域の実情に即して効率的・安定的な農業経営の目標等を内容とする基本構想を策定し、この目標を目指して農業者が作成した農業経営改善計画を認定する制度です。認定農業者に対しては、スーパーL資金等の低利融資制度、農地流動化対策、担い手を支援するための基盤整備事業等の各種施策などが実施されます。

(1)大潟村における経営・生産の総合的な振興に関する基本方針

 大潟村の農業生産は、米を主体に畑作では大豆・麦類をはじめとしてメロン・南瓜等による土地利用型の田畑複合経営と、野菜・花き等を組み合わせた複合経営が行われていますが、米をはじめとする農産物価格の低迷など農業経営を取り巻く環境変化により、経営基盤の強化が更に求められています。
 このため村では、稲作の高い生産力を維持しつつ、さらに複合部門を強化した生産構造を確立するとともに、地域農業の担い手として今後育成すべき経営体を明確にし、こうした経営体に対して経営規模の拡大や複合化等のための支援を重点的に実施することによって、収益性の高い農業経営の実現を図ることにしています。

(2)大潟村における効率的かつ安定的な農業経営の基本指標

 大潟村における経営感覚の卓越した優良な農業経営の事例を踏まえつつ、農業経営において他産業従事者と均衡する年間総労働時間(主たる従事者一人当たり)1,800~2,000時間程度、1経営体当たりの年間農業所得1,000万円程度の水準を実現できるものとし、これらの経営体が農業生産の相当部分を担う農業構造の確立をめざすこととしています。

(3)認定農業者数

 平成22年3月現在の大潟村における認定農業者数は257経営体です。うち法人は8経営体、また女性は8経営体となっています。認定農業者の推移及び認定農業者の年齢構成については、以下の表のとおりとなっています。

認定農業者数の推移
年度 平成12 平成13 平成14 平成15 平成16
人数(人) 232 230 253 236 236
年度 平成17 平成18 平成19 平成20 平成21
人数(人) 241 227 222 240 257
認定農業者の年齢構成
年(歳) ~29 30
~39
40
~49
50
~59
60
~64
65~
人数(人) 1 47 75 57 44 33

農業関係機関・団体の概要

(1)大潟村農業委員会

 農業委員会とは、自作農の創設及び維持、農地等の利用関係の調整、農地の交換分合その他農地に関する事務を行うため、市町村に設置が義務づけられている行政委員会です。大潟村農業委員会は、昭和51年10月に設置され、本村の農業振興の円滑な推進を図るため、農用地の権利設定、農地転用の適切な許可等、効率的なかつ総合的な農地利用との整合性を確保し、その増進に努めています。農業委員会の概要及び農地の移動状況等(平成22年4月1日現在)は以下のとおりとなっています。なお、農業委員の任期は、最初の2期は地方自治法の特例により2年となり、その後3年の任期となっています。

農業委員数
15名
(選挙11名、議会選任2名、土地改良区選任1名、農協選任1名)
(農業共済組合は設置されていないため、共済組合からの選任はありません。)
部会構成
農地部会7名、農政部会6名
(法に基づかない任意部会であり、会長および職務代理者は両部会に所属しています。)
農家戸数
523戸
農家人口
1,633人(男:849人 女:784人)
※2005年農業センサス
農地面積
田:10,977.25ha
[大潟村9,146.58ha・周辺市町1,830.67ha]
畑:201.22ha
[大潟村育苗施設用地70.46ha]
経営耕地面積
面積(ha) 0~5 5~10 10~15 15
戸数 5 14 13 271
面積(ha) 15~20 20~25 25~30 30~
戸数 84 84 26 26

農地の移動状況(平成21年度)

農地法第3条関係
売買・使用貸借・使用賃貸借 30件 (1,703,118m2
農地法第4条関係
1件 (506.69m2
農用地利用集積
売買・使用貸借・使用賃貸借(農業基盤強化法) 149件 (1,821,924m2

その他: 農業者年金加入者251人、農業者年金受給者339人

(2)大潟土地改良区

 土地改良区とは、土地改良法に基づき土地改良事業を行うために設立された法人で、「水土里ネット」(みどりネット)という愛称で呼ばれています。
大潟村の土地管理は、受益者(大潟村で農地を所有する方)で自主的に水管理等を行う団体として、「八郎潟中央干拓地水管理区連合会」が昭和44年4月に設立されたことに始まります。その後、同連合会を廃し、「八郎潟中央干拓地水管理区」 が昭和44年10月に設立されました。昭和47年度をもって既配分農地(1~4次入植者1戸当たり約10ha) 及びこれに附帯する土地改良施設の工事が完了することに伴い、昭和48年8月に入植者と中央干拓地内に増反地を有する周辺3市町(男鹿市、三種町、八郎潟町)の農業者等2,663名を組合員として、「大潟土地改良区」が設立されました。
 また、日本海と遮断する防潮水門、干拓地内から堤防の外への排水を行う排水機場、排水機場を結ぶ幹線排水路等の基幹施設については、秋田県が国(農林水産省)から管理委託を受けております(県営維持管理事業)。

(1)組合員数
町村名 大潟村 男鹿市 三種町 八郎潟町
組合員数(人) 558 429 654 312 1,953

※公共機関・団体 (行政機関・農協等) 8組合員を含む。

(2)受益面積
区分 大潟村 周辺増反者 公共機関・団体
面積(ha) 9,303.05
(1戸平均15)
1,825.35
(1戸平均1.1)
633.54 11,761.94

(3)役員数

総代
103名 (大潟村68名、周辺増反35名)
理事
11名 (大潟村 7名、周辺増反 4名)
監事
3名 (大潟村2名、周辺増反1名)

(4)土地改良区が管理している施設概要

用水取入口
19ヵ所
幹線用水路
93.6km
小用水路
449.6km
支線排水路
108.6km
小排水路
520.7km
農道
435.7km

(5)賦課金・分担金等(平成21年度)

経常賦課金
2,647円/10a (組合員1戸あたり、1年の賦課金の平均)
県営維持管理事業分担金
970円/10a

(6)県営維持管理事業分担金
 県が国から受託している基幹施設(防潮水門、排水機場、幹線排水路)の維持管理費の負担区分は、国が40%、県と地元受益者がそれぞれ30%となっています。なお、平成20年度の維持管理費は、約3億円となっています。

(3)大潟村農業協同組合〔J A大潟村〕

 大潟村における農協の歴史は、昭和41年9月に県農協連大潟村総合事務所が発足して入植訓練所で業務を開始したことに始まります。昭和43 年11月には新農村建設協議会に 「農協対策委員会」を設置し、 同委員会の答申を受けて「農協設立対策委員会」が設置されました。昭和45年8月に「農協設立発起人会」が発足し、同年9月の創立総会で「大潟村農業協同組合」が設立されました。平成14年6月には組合員の営農を総合的にバックアップする「営農支援センター」 を開設し、平成22年4月からは「営農支援課」に呼称を変え、組合員の営農指導・支援を継続しています。また、平成18年からは、園芸団地の貸付(1区画30a、54区画)を行い、野菜、果物、花卉類の栽培が行われています。平成22年3月末現在の概要は以下のとおりとなっています。

組合員数
1,197名
(正組合員1,169名、准組合員28名、正組合戸数 546戸、 准組合戸数28戸)
役員数
11名 理事8名 (常勤3名)、監事3名 (常勤1名)
主な施設
JA会館、生活センター、農機・自動車センター、 生産資材センター、 集出荷所、 種子センター、 給油所、農産物加工センター、フードシステム加工場など

(4) 株式会社大潟村カントリーエレベーター公社

 昭和43年9月に第1次入植者が生産した米の貯蔵・調製・出荷に備え、カントリーエレベーター1号基が完成し、八郎潟新農村建設事業団により運営が開始されました。昭和44年2月に秋田県経済連に運営が移譲され、その後カントリーエレベーターの増設に伴い、昭和45年3月に、「(株)八郎潟カントリーエレベーター公社」が設立され、 昭和60年に「(株)大潟村カントリーエレベーター公社」 と改称されました。当初、株主は関係機関団体による構成でしたが、現在は利用者も株主となって運営に参画しています。通常、既存の市町村では農協がカントリーエレベーターを取得し、運営を行っていますが、カントリーエレベーターの運営開始、及び公社の設立時に農協が設立されていなかった関係等から、(株)カントリーエレベーター公社は農協の運営とは別の独立した法人となっています。平成22年4月1日現在の概要は以下のとおりです。

株主及び出資額

出資総額
現在:3億4,180.5万円 (当初:1,230万円)
出資比率
利用農家55.5%、大潟村29.2%、JA大潟村12.6%、ほか2.7%
役員数
代表取締役社長1名、専務取締役1名、取締役6名、監査役3名
業務内容
穀類(米・大麦・小麦・大豆・菜種等)の乾燥・調製・貯蔵・加工・出荷・販売
施設概要等
カントリーエレベーター  5,000t×7基=35,000t 6,000t×1基=6,000t
総処理能力
41,000t (生籾) ※玄米換算約433,000俵
準低温倉庫
5棟
施設
大豆調製施設、精米工場、精米設備、無洗米設備、有機ペレット製造施設、アンテナショップ「潟のめぐみ ソーラーハウス」(秋田市)